腰部脊柱管狭窄症ー診察１ー会話形式

腰部脊柱管狭窄症の患者さんと　整形外科専門医との　やり取りを、会話形式で見ていきましょう。

２週間前から　しばらく歩くと両足がしびれてくる患者さんです。

診察に行って、どのような検査をするのでしょうか。　

診察前

自己紹介

こんにちは
62歳　女
今は仕事はしていませんが、60歳まではパートで立ち仕事をしていました。
趣味は寺社仏閣を散策することです。
周りのみんなは　膝が痛い・腰が痛いと言うんですが、私は立ち仕事が長いと少し腰が痛かった程度で、体には自信があります。
2週間前から　10分歩くと　おしりから足にかけてしびれてきて　足が重たくなる感じがして　歩けなくなってくるんです。でも　3分休むとまた歩けるんです。
近所の奥さんと　夕方に散歩に行っていたんですが、最近は行けていません。
こけたり打ったりした覚えはないです。
1度病院で診てもらおうと思って来ました。

診察

こんにちは

今日はどうされたのですか？

２週間前から 10分歩くと　おしりから足にかけてしびれてきて　足が重たくなる感じがして　歩けなくなってくるんです。

しばらくしゃがんでいると　しびれがましになってくるのですか？

はい。そうなんです。
しばらくしゃがむと　また歩けるようになるんです。

自転車は長い時間乗ることができますか？

自転車ではしびれないので　遠くにでも行けるんです。

スーパーに行って　カートを押す時にはしびれがましになりませんか？

そうなんです。

腰部脊柱管狭窄症では　腰の部分で神経が圧迫されています。
一般的に　腰の部分をそらすと神経への圧迫は強くなり、腰を丸めると圧迫は弱くなります。
かがんで腰を丸めたり　自転車に乗って腰を丸めたり　カートを押して腰を丸めたりすると、調子よく動けることがあります。

診察しますね。

膝の下や腰の部分を押さえても痛くないようですね。
下肢の力もしっかりしていますね。
足の甲の動脈もしっかり触れます。
膝の腱反射も正常です。

では　まず　レントゲンをとってきていただきます。

はい。分かりました。

腰部脊柱管狭窄症では　悪い部分（腰の部分）を人に押されても　痛くないことがあります

下肢の筋力が低下していれば　手術も含めて考えることがあります。

足の甲の動脈（足背動脈）が触れなかったり膝の腱反射（膝蓋腱反射）が亢進している場合　違う病気も疑います。

腰のレントゲンには　大きな問題はありません。
症状と診察所見から　腰部脊柱管狭窄症を疑うので　本日は　オパルモン・ロキソニン・ムコスタという飲み薬を出します。
次回は2週間後に来て頂いて、その時にMRI検査をします。
症状がどうなったかをその時に教えてください。

腰部脊柱管狭窄症は　レントゲンだけでは正確に評価できません。
レントゲンでは正常に見えても　MRIで脊柱管狭窄像をみることもあります。
オパルモンは小さい動脈を広げるお薬です。圧迫された神経が　歩くことで血流不足となり、足が痛んだりしびれたりします。そこで　この部分の血流を増やす目的で　オパルモンをのみます。
ロキソニンは炎症を抑える薬です。市販もされています。ただし、副作用で胃の障害がおこることがあります。
ムコスタは胃薬です。ロキソニンの副作用が出にくいようにのんでいただきます。