大腿骨近位部骨折~見逃されやすい骨折です
股関節の骨折は割と見逃されやすいです。
というのも、「歩けるけから、骨折じゃないと思ってました」っていうことがよくあります。
歩けるから骨折ではない?
例えば、こんな方がおられました。
80歳台でバイクに乗っていて、こけて、股関節のところが痛くなって、 少し歩きにくいっていうことで、近くにある大きな病院に救急車で運ばれた患者さんです。
その方はその時あの時間が夜やったんで(大きな病院は、夜の当直は いろんな科の先生がされている)たまたま、その日は整形外科の先生が当直されてなかったんで、外科系の先生が見ることになりました。
外科系の先生、もちろん骨折も疑ってレントゲンをとったんですけれど、明らかな骨折はないということで、帰っていただきました。痛み止めは出されたみたいですけれど、「翌日、整形外科の診察に来てください」っていう風な形で、指示をされたようです。ところが、その患者さんは 「痛いけれど、歩けるから大丈夫だろう」っていうことで、家で様子を見ておられました。
ところが、痛みはだんだんだんだん強くなっていって、歩けなくなってきました。そういった中、家服の方も、「新たに病院へ行きなさい」っていうようなことはおっしゃらずに、そのまま様子を見ていたんですけれど、結局 2か月たっても良くならないんで、救急車でまたその前行った大きな病院に運ばれました。
その時はもうほぼ寝たきりになっておられて、足の力もかなり落ちていました。そんな状況で大きな病院に運ばれて、そこの先生に診察を受けると、股関節の骨折をしていました。
骨折をしていると、通常は手術をして治します。
その方の場合は元々がかなりご高齢ですし、もう 寝たきりの状態が1月以上続いてました。たとえ手術をしても 、歩ける可能性が極めて低いというふうに判断されて、結局手術は行わなかったです。
となると、もう現実的には痛みがなくなるような形で、しばらく様子を見るしかありません。現実的には寝たきりの状態になって、他の病院に転院をされました。
その後もやはり違う病院でリハビリをしました。
リハビリをしたんですけれど、やっぱり良くならなくて、寝たきりになられてしまいました。
今回の患者さんのように、 初めに救急病院(おっきい病院)に行って、レントゲンをとったけれど、骨折がないと言われました。
「その後専門の先生に受診してください」って言われたけれど、 結局行かれなかったんです。行かれなかったから、専門の先生の診察を受けなかった。骨折の疑いがあったにもかかわらず。
骨折がや見逃されたて、寝たきりになれなられてしまいました。
この方は、初めに整形外科の先生が見ていたら、きっと骨折がわかったと思うんです。そういう股関節の部分の骨折っていうのは、慣れた先生でもすごく分かりにくいことがあります。
たとえ折れてても折れかけていても、レントゲンでは全くわからないこともあります。
痛みがあって、続いて、だんだんひどくなっていってるようやったら、やっぱり レントゲンやMRIを経過を追って撮影して、それで骨折があるかっていうのは注意深く見る必要があると思います。
この方も初めのうちにしっかり骨折であるっていうことを確認して、手術をすれば、きっと歩けるようになっていたと思います。
今回の件は、「整形外科に見てもらってください」っていうような形で、そういう 指示を受けていたにも関わらず、いかなかったという、その患者さん自身の落ち度もありますけれど、やはりちょっと残念だなっていう風には思います。こういったことは、ほんとによくある話で、私たち整形外科医でさえも見逃しがちなこともあります。
時間外に専門でない先生を受診された場合は、 しっかりと専門の先生を後日受診された方がいいと思います。
もしくは、例えば、開業医さんとかで見ていただいても、なかなか良くならないっていう時は、大きい病院に1度受診された方がいいと思います。