ロコアテープ
おばあちゃん

膝の軟骨がすり減っていて、”ロコアテープ”という湿布をもらいました。

膝に貼ると良く効きます。

医者正面

今までの湿布と比べても 格段の違いがあるんです。

”飲み薬よりもよく効く”湿布について説明します。

ロコアテープは飲み薬より効果がある⁉

ロコアテープは 他の湿布と どう違うの?

無茶苦茶よく効きます。

とにかく、皮膚⇒皮下組織⇒筋肉や関節⇒血管内 へと、薬の成分(エスフルルビプロフェン)がしっかりと移動してくれるんです。

(エスフルルビプロフェンの分子構造が、組織移行をしやすくなる構造になっているようです。)

その証拠に、『ロコアテープは1日2枚までしか貼ってはいけません』という注意書きがあります。

3枚以上貼ると、エスフルルビプロフェンの血中濃度が上がりすぎるせいです。

ロコアテープを2枚貼るのと、フルルビプロフェンの経口剤を1日3回内服した時の血液中の濃度は、ほぼ同じ濃度となりました。¹⁾

つまり、ロコアテープでは 血液中の有効成分の濃度が同じくらいにまで上がります。

これをイメージ図で表すと・・・

ロコアテープ濃度

一目瞭然!

ロコアテープのほうが、効いてほしいところ(筋肉や関節)に沢山の薬を送り込めます。

ここまで効いてくれる湿布は 今まで存在しなかったです。

(フルルビプロフェンの湿布の30倍以上濃くなってくれます)

論文2)

膝の手術をする患者さんを対象として

ロコアテープとステイバンパップを貼り 比較しました。

ロコアテープでは、関節内まで有効成分(エスフルルビプロフェン)が 149ng/ml の濃度で移行しました。

ステイバンパップでは、関節内まで有効成分(フルルビプロフェン)が 4.55ng/ml の濃度で移行しました。

ロコアテープの方が、有効成分の濃度が30倍以上あります。

 

 

裏話:

人工膝関節手術をする12時間前に

①ロコアテープを貼る

②ステイバンテープを貼る

という群を作り、

手術中に関節液や滑膜を採取して濃度を測定しました。

その結果、上に書いたような有効成分として計測されました。

 

どんな病気で使えるの?

保険適用上は『変形性関節症における鎮痛消炎』です。

具体的には、変形性膝関節症・変形性肩関節症・変形性股関節症などで使えます。

都道府県によっては、変形性脊椎症等でも処方できると解釈されています。

(都道府県によってルールが違うのは不公平ですよね。)

特に、膝・肩には有効です。

その理由は、皮膚から関節までの距離が短いからです。

皮膚からじわじわしみ込んで効く薬なので、近いほうが効くのです。

ロコアテープの副作用

他の湿布よりも副作用が起こり易いです。

他の代表的なテープ型湿布と比較します。

副作用発現率 皮膚炎※
ロコアテープ 19.3% 8.0%
ロキソニンテープ 8.5% 1.4%
モーラステープ 4.93% 4.67%

(※皮膚炎の定義がそれぞれの湿布で異なっているため、大まかな目安として下さい)

一番多い副作用は皮膚炎

皮膚炎が8%の方に起こります。

つまり、ロコアテープでは、12人に1人くらいはかぶれます。

他のテープ剤と比べて、かぶれやすいです。

通院中の患者さんからも「ロコアテープは、効果はあるが、かぶれてしまいます」という意見をよく聞きます。

高い濃度で薬がしみ込んでいくので かぶれやすいのでしょう。

その他の副作用

下の表³⁾を参照ください。ロコアテープ副作用

他のテープ剤と比べて、全体的に副作用が多いです。

1%未満ですが、胃炎や消化性潰瘍の副作用もあります。

ロコアテープの場合 薬剤が高濃度で体内に入る結果、副作用も増えると考えられます。

ほとんどの副作用は、貼り付けた部分で起こります。

よく効く代わりに、副作用も多いんです・・・残念

ロコアテープを貼る時の工夫

「かぶれやすい」・「貼り付けた部分に副作用が起こりやすい」湿布なので、貼る時にも工夫が必要です。

実は、数時間貼っただけでも効果があるのです。

かぶれやすい人は、先ず 短時間貼ることで試しましょう。

汗をかかない時間帯を狙って貼る

・夏なら エアコンの効いている時間帯に貼る

・寝ている時間帯に貼る

痛くなるタイミングに効果が出るように貼る

・夕方に痛くなるのなら、昼に貼って3時間ではがす

・朝起きた時に痛いなら、寝ている時だけ貼る

上に書いたものを参考にして、自分オリジナルの貼り方を見つけてください。

『絶対にかぶれない自信があります』という方は、24時間貼っても良いですよ。

 

参考文献:

1)承認時評価資料(フルルビプロフェン製剤との全身暴露量の比較)

2)承認時評価資料(変形性膝関節症患者を対象とした組織移行性試験)

3)ロコアテープ添付文書