偽関節

男性笑顔

母親が圧迫骨折をして、主治医の先生に「偽関節になることもあるので、無理をしないようにしてください」と言われました。

偽関節という言葉は 聞いたことがありません。

偽関節について教えてほしいです。

医者正面

分かりました。

では、勉強しましょうか。

圧迫骨折ー偽関節のことを知ろう

偽関節って何?

医者正面

偽関節とは、偽物の関節と書きます。

一つの背骨の骨が 上下2つに分かれて、くっつかない状態なんです。

そして、背中を曲げたり伸ばしたりすると、上下の骨はぐらぐらします。

男性笑顔

ぐらぐらしていたら 怖いですね。

痛そう。

医者正面

強烈な痛みで動けない方もおられますが、全く痛みはなく 普通に生活されている方もおられます。

偽関節

偽関節とは、骨がひっつかなかった状態です。

骨の赤い三角形の部分は 正常な硬い骨ではなく 空洞(正確には水分・瘢痕組織・正常でない骨組織などからできている)なので 体の動きに耐えきれず 動いてしまいます

本来 硬い骨のはずが、そこに偽物の関節を作っているように振舞います。

本来動かない所が 偽関節となり動いてしまうと 色々な不具合が生じやすいです。

①体を少し動かしただけで背中が痛い。
②重いものを持った時に 痛みが出やすい。
③偽関節になっている部分が ズレたり 神経に当たったりする。
④背中が曲がる。(円背・猫背)

どうして偽関節になるの?

男性笑顔

骨折したら 骨は自然にくっつくと思っていました。

骨がくっつかないこともあるのですか?

医者正面

一般的に 骨折の後に、骨がくっつきやすいように ギプスなどを巻くでしょ。

骨がくっつくためには いくつかの条件が必要なのです。

お母さんの第1腰椎圧迫骨折は、様々な要因で 骨がくっつきにくい場所なんです。

骨折したら しばらくすると 勝手に骨がくっつくわけではありません。
元通りに直すためには
①元通りの位置に骨を戻す(整復
②整復した位置を保持する(手術による固定・ギプス・装具
③適切な時期に周囲の関節を動かしたり筋力をつけたりする(リハビリ
が必要です。

脊椎圧迫骨折の場合

整復

:難しいです
例として、つぶれた木綿豆腐をもとに戻すのは難しいでしょう?

装具による固定

:難しいです
体の奥のほう(脊椎)を固定しようとしても 遊びの動きが出てしまって 厳密な固定はできません。
呼吸していても 寝返りしても、背骨は少し動きます。
また、ひねる動作や圧迫の動作は装具だけでは対応しきれません。

リハビリ

:難しいです
上記の①・②を完全に達成したままリハビリをすることは厳密にはできません。

上記のような特徴から、特に第12胸椎から第2腰椎にかけては 偽関節となることがよくあります。(ある文献では この部位では30%の方が偽関節になりました。)

骨粗しょう症性椎体骨折全体でも 12~20%の方が偽関節になると言われています。

治療

男性笑顔

第1腰椎圧迫骨折の場合、3割が偽関節になるのですね。

確率が高いですね。

偽関節になってしまったら、どのような治療があるのですか?

医者正面

先ずはその時の症状が重要です。

痛くもなく 普通の生活をしている方の場合、骨癒合しやすくなる薬を注射をしたり、コルセットを長期間つけてもらうことが多いです。

痛みが強くて 足などに神経症状が出ている場合は、手術をするほうが良いです。

男性笑顔

心配です。

どの様にしたら 偽関節になりにくいのですか?

医者正面

コルセットをしっかりと付けたり、生活での動きをゆっくりにしたりすることは有効です。

定期的に病院を受診して、レントゲンで経過を見ることも重要です。

途中で骨折部が悪化してきたら、自分が無理をしている証拠です。

無理をしないように生活してください。

脊椎圧迫骨折の部分が偽関節になっても、直ぐに手術をするわけではありません。

腰痛などの症状が無く 神経障害が無ければ、手術をしなくても良いです。

しかし、人によっては 強い痛みや 遅発性神経障害が出現して 何らかの対処を要す必要があります。

骨癒合しやすくなる薬を投与したり、コルセットでの固定期間を長めにしたり、手術をしたりと、様々な治療があります。