
新型コロナウイルスの抗原検査が始まったと聞いたのですが、今までの検査とは違うのですか?

”PCR検査”は、よく聞く名前ですよね。

そうですね。
新型コロナウイルスの検査法 イコール PCR検査です。

実は、他にも検査法があるのです。
抗原検査や抗体検査です。

そうなんですか。
では、3つもあるので 色々と選べるのですね。

それが・・・
それぞれの検査には、一長一短があり、万能ではないのです。
新型コロナウイルスの抗原検査は良いところばかりなのか⁉
2020年5月13日 日本でも抗原検査キットが使えるようになりました。
抗原検査とはどのようなものでしょうか・・・
そもそも”抗原”って何?
名札と考えるとわかりやすい
『新型コロナウイルスが居るかどうかを調べたい・・・』
こんな時、新型コロナウイルスが”名札”を付けていれば見つけやすいですよね。
そうなんです。
新型コロナウイルスが作り出す特別なたんぱく質を見つけて、それに”新型コロナウイルスの抗原”と名前を付けてしまいます。
これで、新型コロナウイルスの作る”名札”の出来上がりです。
この”名札”を探すのが、抗原検査です。
抗原検査は簡単にできるの?
インフルエンザの検査とほぼ同じです
診療所に行って インフルエンザの検査をします。
鼻の奥に綿棒を入れて・・・(気持ち悪くてくしゃみが出ますよね)
その後、看護師さんが 妊娠検査薬の様なもので検査します・・・(簡単にできます)
10分くらいで結果が判ります。
このインフルエンザの検査と 同じような方法です。
検査結果は正確なの?
残念ながら PCR検査の半分以下の精度です
2020年5月13日に日本で使えるようになった抗原検査は、
新型コロナウイルスの抗原検査キット「エスプライン SARS-CoV-2」(富士レビオ)
です。
下の文章は検査キットとして国に認めてもらうに当たって 富士レビオが提出した資料の一部です。
雰囲気だけ見てください。
解説です。
実際の患者さんの鼻からとった粘液を検査したところ、検査の精度(陽性一致率)は37%でした。
つまり、PCR検査と比べて、PCR検査が100%とすると 抗原検査は37%しか陽性になりませんでした。
続いて もう一つの資料です。
解説です。
これは、実験のために様々な濃度で新型コロナウイルスが混ぜてある液体で検査したものです。
新型コロナウイルスの濃度が高い場合は、陽性になります。
この資料から、新型コロナウイルスの濃度ごとの精度(陽性一致率)を計算しました。
下の表です。
濃度 | 1600以上 | 400~1599 | 100~399 | ~99 |
陽性一致率 | 100%(12/12) | 67%(2/3) | 33%(1/3) | 16%(1/6) |
(濃度の単位はコピー/テストです)
つまり、抗原検査をする時のコロナウイルスの濃度が高いときしか陽性と出ません。
(逆に言うと、濃度が低ければ、陰性と出てしまうので、困ります)
他の検査との比較
PCR検査 | 抗原検査 | 抗体検査 | |
現在の感染 | 現在の感染 | 過去の感染 | |
時間 | 4~8時間 | 30分 | 20分 |
精度 | 50~70% | 10~30% | |
検体 | 鼻の奥の粘液 | 鼻の奥の粘液 | 血液 |
他の検査との比較です。
今 感染しているかどうかを調べるには、PCR検査か抗原検査をします。
しかし、どちらの検査も100%の正確さには程遠いです。
検査結果が30分でわかる抗原検査は魅力的です。
その特徴を生かして検査を選ぶ必要があります。
抗原検査はどういう時に使うと良いのか・・・(医者の見解)
新型コロナウイルスの可能性が高そうな時に先ず検査する
精度に問題のある抗原検査。
しかし、使いようによっては 頼りになるのです。
抗原検査は、コロナウイルスが沢山いる場合は精度が高く、検査結果も素早く分かります。
新型コロナウイルスに感染していそうな方
・高熱が続いている
・呼吸困難などの症状が強い
・レントゲン検査などで肺炎がある
この様な方は、少しでも早く検査結果が出たら 適切な対応がしやすいです。
ただし、抗原検査で陰性となっても その後にPCR検査を行う必要はあります。
この点は重要です。
こんな人には抗原検査は向きません
感染していないことを確認するための検査には 抗原検査は向きません
そもそも 抗原検査は精度の低い検査と考えてください。
(体の中にたくさんウイルスが居る状態になって初めて 抗原検査は役立ちます)
「新型コロナウイルスに罹っていないか 念のため確かめたい・・・」ということで抗原検査を受けるのは ほとんど意味がありません。
下手に安心して ウイルスをばらまくことにもなりかねません。