外側靭帯損傷
女性笑顔

捻挫してしまったんです。

外くるぶしの下が少し腫れていて、足首を動かすと痛いんです

医者正面

おそらく、Ⅱ度の外側靭帯損傷でしょう。

足首をひねった時には、外側靭帯損傷が一番起こり易いんです

捻挫

足首の捻挫は前距腓靭帯が傷つきやすく、初めに固定するのが大切です

足首をひねるとどこが悪くなるの?

ひねり方・圧力のかかり方・組織の強さで色々なところが損傷します

足首を内かえしにひねった時に起こる損傷についてみてみます。

靭帯損傷

足首をひねって一番傷つきやすいのは、靭帯です。

ストレスのかかり方で、色んな靭帯が損傷します。

足関節外側靭帯損傷
(一番多い)
・二分靭帯損傷
・骨間距踵靭帯損傷
(足根洞靭帯損傷)
・遠位脛腓靭帯損傷

が代表的です。

靭帯損傷のみが起こった時に、捻挫と言います。

骨折

『歩けるから折れていません』と、自信満々に来院する患者さんがいます。

しかし、そういう時に限って”骨折”・・・なんてことが・・・

骨よりも靭帯のほうが強いために骨折してしまうことも・・・

小児・40代以降になり易いです。

 

あくまで一般論ですが、骨折はきれいにひっついてしまえば後遺症は残りにくいです。

骨折だからって落ち込むだけでなく、今後のことを前向きに考えましょう。

外側靭帯損傷
文献1)より引用・改変

外側靭帯ではどの靭帯が損傷しやすいの?

損傷しやすい順番に書きます。

前距腓靭帯 
踵腓靭帯 
後距腓靭帯

これは内がえしにひねった時に負荷がかかる順番です。

先ずに負荷がかかり、次いで 次いでとかかっていくんです。

内がえしにひねってだけ負荷がかかるというのは 通常ありません。

それぞれの靭帯がある部分を押さえると、損傷している靭帯は痛みます。

そして 靭帯の損傷がある程度ひどいと、靭帯から出血して腫れます。

重症度はどうやって見極めるの?

靭帯損傷の具合で分類します

靭帯損傷は 3つに分類します。

Ⅰ度損傷 :目で見てわかる靭帯線維の断裂はない
明らかな腫れや皮下出血がない
Ⅱ度損傷 :靭帯線維束の部分断裂がある
軽度の腫れと皮下出血がある
Ⅲ度損傷 :靭帯が完全断裂している
高度な腫れと皮下出血がある

と、学問的に分類することは可能です。

しかし実際の現場では、完全に断裂しているかどうかを 瞬時に見分けることは不可能です。

たとえ MRIを撮影しても、(かなり細かい靭帯なので)詳細にすべてが分かるわけではありません。

痛みや腫れの状況を数週間単位で観察して、治療方針を適宜決めていくのが現実的な方法となります。

ストレス撮影という検査があります。

足首を内がえしに捻りながら、関節がどれだけ不安定かをレントゲンで見る検査です。

靭帯が完全に断裂していれば グラグラと異常なまでに動きます。

ケガをしてすぐにストレス撮影をすることで、ケガの状態をさらに悪化させることもあるので、ケガの直後はあまりしない検査です。

治療は?

先ずはギプス

ケガをして1週間以内に受診した場合です。

初診時

取り外し可能なギプス

固定:ギプス素材で足関節を固定します。

痛みを感じない程度は 体重をかけても良い。

取り外し可能なギプスを用いることが多いです。

 

我が家の実体験

私の子供がサッカーで捻挫した時(前距腓靭帯損傷Ⅰ度)に、オルソグラスというギプス素材が入った固定材料を上記の写真の様に作って、固定しました。

当日は、固定しながら坂道も含めて走っていました。

3時間以上、兄弟と走り回って遊んでいました。(体力ありますよね・・・)

(それはやりすぎだろうと思いましたが、注意もせず見ていました・・・子供に○○したらダメと言っても聞きませんから…)

固定する前は 歩くたびに痛いと言っていましたが、固定してからは痛みが無くなり、固定した状態で走り回った後も痛みはなく、腫れがひどくなることもなかったです。

 

1週間後

ギプスなどの固定を外して診察。

腫れや痛みが強い場合:再び固定をする

腫れや痛みが軽く、損傷部位が外側靭帯のみの場合:足関節用装具を装着

更に1~2週間後

痛みが無ければ日常動作への復帰

注意点

・痛みがなかなかひかない様なら、MRIで 骨折の有無などを確認する方が良いでしょう。

・この様な治療で痛みが残った場合は、靭帯再建(違う組織を使って靭帯を作る)などの手術を行う場合もあります。

・正座の形は、内がえしに捻った動きと似ています。

痛みが出るようなら、正座は控えましょう。

装具

ギプス固定の後は、装具を付ける方が良いです。

傷ついた靭帯を補強する様に働いてくれます。

スポーツ復帰の際も装具は必要となるので、つけましょうね。

スポーツはいつからできるの?

6~8週後です

ケガをして6~8週後から、装具を付けたまま 少しずつ復帰していきます。

「急に無理をして 逆戻り」 とならないようにしましょう。

あせる気持ちは分かりますが、靭帯が修復するまでは 時間が必要なんです。

この記事を書いて

・以前は3週間のギプス固定をするのが 整形外科医の常識でした。

1991年に発表された論文²⁾で 長期のギプス固定の弊害が指摘されて以降、徐々にギプス固定期間が短くなってきています。

・病院以外でも装具を買えるのですね。

アマゾンをはじめ、ネット通販って便利ですよね。

ひとりごと

このページで紹介したイラストは、”プロメテウス解剖学アトラス”から引用しています。

解剖の本を色々買いましたが、これは良いですよ。

・1990年代までは、主に 本物の人体を解剖したものの写真でした。

・その後、ネッターという人が 絵の具を使って書いたイラスト(かなり精密で その当時は革新的でした)のアトラスが日本でも出版されました。
(一目ぼれして、色んなシリーズを買ってしまいました。)

・そして今・・・CGを使って、さらに精密に、さらに分かりやすく書いてあるのが プロメテウス解剖学なんです。

高価ですが、知識には代えられません。

”百聞は一見に如かず”・・・得られる知識が3Dです。

医療関係者の方は、どうぞ参考にしてください。

参考文献)

1)坂井建雄 松村譲兒 監訳:プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第1版:医学書院.p478,2007

2)Kannus P,Renstrom P. Treatment for acute teras of the lateral ligaments of the ankle. Operation,

cast,or early controlled mobilization. J Bone Joint Surg Am 1991;73(2):305-12