アキレス腱断裂 手術

結論から言うと 適切な治療を行った場合、手術をしてもしなくても アキレス腱は再断裂しにくいです。

ただし スポーツ選手の場合、手術をすることが多いです。

アキレス腱断裂に関する論文は 大変多く出ています。

複数の信頼できる論文をまとめたもので、15862例(手術9375例:非手術6487例)のアキレス腱断裂を検討した論文¹⁾があります。

この論文を中心に 手術が必要かどうかをみていきましょう。

アキレス腱断裂 手術をするのかしないのか・・・

アキレス腱断裂ー再断裂はどの程度の確率でおこるの?

アキレス腱断裂の治療後に 再びアキレス腱断裂を起こすことがあります。

せっかく治ったのに、本当に困ります。

論文1)によると、手術群:2.3% 非手術群:3.9%で再断裂します。

(断裂してから それぞれの観察期間10~95か月の間に再断裂したかどうか)

(ただし論文によって再断裂の確率が10%を超えるものもあり まちまちであるので、この数値は一つの目安と考えてください。)

この数値を見る限り、手術をしたほうが しっかりとアキレス腱は引っ付きます。

ただし、その差は100人のうち 1.6人です。

合併症はどの程度の確率で起こるの?

合併症とは”「ある病気が原因となって起こる別の病気」または「手術や検査などの後,それらがもとになって起こることがある病気」”(Wikipediaより引用)です。

論文1)によると、手術群:4.9% 非手術群:1.6%で合併症が発生します。

主な合併症は以下の表を見てください。

手術 非手術
創傷/皮膚感染症 2.8% 0.02%
深部静脈血栓症 1.0% 1.2%

この数値と合併症の怖さを見る限り、手術をしないほうが安全です。

どうして意見がバラバラなの?

日本も含めて世界各国で、アキレス腱断裂は 手術をしたほうが良いのか 手術をせずに治療したほうが良いか 今だに議論されています。

それは、手術をする/しないで メリット/デメリットがあり、どちらも優劣つけ難いためです。

結局 手術をしたほうが良いのはどういう人?

手術をするかしないかは、主治医の先生と話し合って決める必要があります。

具体的には、下記のような方は 手術を選ぶことが多いです。

スポーツ選手
合併症の危険性はあるものの スポーツ復帰を願うような方は、再断裂の可能性が低いので 手術をされることが多いです。

足首を底屈させても 超音波検査でアキレス腱が離れている場合
手術をせずに治療する場合、通常 足首を底屈させてギプス固定をします。
この時に アキレス腱が離れた状態だと、再断裂の可能性がやや高まります。

 

参考文献
1) Ochen Y, et al. :Operative treatment versus nonoperative treatment of Achilles tendon ruptures: systematic review and meta-analysis .BMJ. 2019;364:k5120.