スポーツをする前の準備運動で、アキレス腱を伸ばす動きをしますよね。
腱の中でも皆さんがよく名前を聞く ”アキレス腱” についての話です。
アキレス腱断裂ー診断から治療まで
アキレス腱とは
足首の後ろ側にある腱です。
ふくらはぎの筋肉(内側腓腹筋・外側腓腹筋・ヒラメ筋)が下の方でアキレス腱となり、かかとの骨にくっつきます。
アキレス腱断裂とは
アキレス腱に負担がかかり 切れてしまうことがあります。
運動中に起こることが多く、
「後ろからボールが当たった。」
「後ろから蹴られた」
と感じることもあります。(実際は ボールも当たっていないし、蹴られてもいません。)
アキレス腱が断裂した後も、びっこを引きながら 歩くことは出来ます。
歩けるんだから大丈夫・・・と、受診が遅れる方もおられます。
このアキレス腱が切れると つま先立ちが出来なくなります。
どんな人がなりやすいの?
30〜40歳代の男性が、ウオーミングアップやストレッチをせずに 球技やラケット競技をしている時に断裂しやすいです。
一番断裂しやすいのは30〜40歳代です。
アキレス腱が劣化(退行性変化)し始める時期なんです。
この時は スポーツによる断裂が多いです。
高齢層になると、スポーツ以外の日常活動中の断裂が多いです.
スポーツの中でも 球技,ラケット競技での断裂が多く,種目別にはバドミントン,バレーボール,サッカー,テニスなどの球技およびラケット使用競技での発生頻度が高いです.
診断方法
Simmonds Thompson squeezing test(単にトンプソンテストとも言います)と言う検査方法があります。
この検査法が 特に有効です。
一般的には
①アキレス腱のレリーフが消失し凹みを触れる
②つま先立ちが出来ない
③Simmonds test, Thompson test陽性
が アキレス腱断裂の特徴と言われます。
超音波検査も大変有効な検査です。
治療
手術療法と保存療法(非手術療法)があります。
一般的に再断裂率(後日 再びアキレス腱断裂を来す確率)は、手術療法で低く保存療法で高いと言われています。
つまり、手術をしたほうが 後々 断裂しにくいです。
だからと言って 全員が手術をしたほうが良い と言う訳ではありません。
手術療法と保存療法(非手術療法)の比較については こちらを見てください。
アキレス腱断裂の時 手術をするのかしないのか。結論から言うと 手術をしてもしなくても アキレス腱は再断裂しにくいです。 ただし スポーツ選手の場合、手術をすることが多いです。1万5千を超えるアキレス腱断裂をまとめた論文を参考に検討します。
再断裂とは
せっかくアキレス腱断裂を治療しているのに、途中で再びアキレス腱断裂が起こることがあります。
多くの場合、初めにアキレス腱断裂をしてから2~3か月後に起こります。
丁度 装具を付けて、徐々に足首を背屈させていく時期です。
この時期は 特に慎重になるほうが良いです。
スポーツ復帰
6~9か月でスポーツ復帰をすることが多いです。
しかし、米国のプロスポーツのバスケットボール・アメリカンフットボールでは、手術をして アキレス腱が引っ付いても 1/3は復帰できていません。¹⁾²⁾
参考文献
1) Parekh S et al:Epidemiology and Outcomes of Achilles Tendon Ruptures in the National Football League. University of Pensylvania Orthopaedic Journal 19 ,2009
2)Amin NH et al:Performance outcomes after repair of complete Achilles tendon ruptures in national basketball association players.Am J Sports Med 41,2013