認知症予防
おばさん

最近 物忘れが多くなってきました。

認知症にならないかが心配です。

予防方法があるなら、教えてほしいです。

医者正面

そのように思っている方は 沢山おられます。

かく言う私も その一人です。

今回は、認知症の予防や危険因子についての話です。

WHOの認知症予防ガイドライン¹⁾(2019年に発表)と認知症疾患診療ガイドライン2017²⁾を参考に整理しました。

推奨度の高いものから説明します。

認知症にならないために・・・WHO推奨

歳をとってくると、”物忘れ”が増えます。

実は私も ”物忘れ”が出てきて・・・

そこで、認知症を予防する方法を調べてみました。

しっかりした情報源として

・認知症予防ガイドライン:世界保健機構(WHO)2019

・認知症疾患診療ガイドライン2017

を徹底的に調べました。

強い推奨・中程度の根拠があるもの

運動

認知症予防

 

医者正面

運動は認知症予防に有効です。

ある論文では、運動をする人は あまりしない人と比べて 4割程度 認知症になりにくいという報告もあります。³⁾

おばさん

具体的には どの様な運動をすれば良いのですか?

医者正面

一番良いのは、歩きながらしりとりをしたりすることです。

1日30分 週2~3回程度から始めてみると良いでしょう。

慣れてくれば 週5回に増やしましょう。

おばさん

歩きながらしりとり?

医者正面

コグニサイズといって、運動しながら頭を使うと良いのです。

1人で歩くなら、計算をしながら歩くのも良いでしょう。

運動に限って言うと、65歳以上の方は、

週に合計150分以上の中強度の有酸素運動
又は
週に合計75分以上の高強度の有酸素運動

をすると、認知症予防になります。¹⁾

先ずは散歩から始めてみてはいかがでしょうか。

中強度の運動:ふつう歩行~速歩、床掃除、体操、バレーボール、ボーリング 等

高強度の運動:階段を上る、山登り、エアロビクス、ランニング、テニス、サッカー、水泳 等

健康的でバランスの取れたダイエット

医者正面

ダイエットをするのも 認知症予防に有効です。

ただし、表面的に体重を落とすだけではありません。

健康的に痩せる必要があるのです。

おばさん

痩せるのは難しいですよ。

認知症予防に良いと言われている食べ物はあるのですか?

医者正面

果物・野菜・魚・ナッツ類・オリーブオイル・コーヒーが認知症を予防すると言われています。

自分の食事の嗜好を見つめながら、徐々にダイエットに挑戦してください。

今日からですよ。

詳しくは、健康的なダイエット:WHO.2018を参照ください。

・果物・野菜を1日に400g以上食べる
・脂肪・塩・砂糖を減らすこと
を推奨しています。
(じゃがいも、さつまいも は野菜には含みません。)

禁煙

医者正面

1日20本タバコを吸う人は、吸ったことのない人と比べて1.34倍 認知症になりやすいという報告があります。⁴⁾

おばさん

私、タバコを吸っているのです。

今からやめても 手遅れですよね?

医者正面

いいえ。

認知症のなりやすさは、禁煙した人と タバコを吸ったことがない人と変わりません。⁴⁾

今からでも遅くないので、禁煙も考えてください。

おばさん

本数を減らすだけでも効果はあるのですか?

医者正面

はい、あります。

禁煙がどうしてもできないようなら、本数を減らしてください。

90万人以上を調査した論文⁴⁾では

現在喫煙している人は、喫煙したことがない人に比べて 1.3倍 認知症になりやすい
現在禁煙している人は、喫煙したことがない人に比べて 1.01倍 認知症になりやすい
(ほとんど変わらない)
1日にタバコを吸う本数が多ければ多いほど、比例して認知症になりやすい
(1日に50本吸うと、約2倍 認知症になりやすいです)

と報告しています。

弱い推奨・中程度の根拠があるもの

過剰の飲酒はダメ

医者正面

アルコールを飲み過ぎる人は 認知症になりやすいです。

おばさん

どの程度飲酒すると 認知症になりやすいのですか?

医者正面

2017年に発表された論文⁵⁾を参考に答えます。

認知症のリスクが増えるのは、アルコールでいうと、1日当たり38g以上です。

アルコール度数5%のビールなら、950mlです。

おばさん

適量の飲酒は 認知症になりにくいと聞きましたが、そうなんですか?

医者正面

よくご存じですね。

アルコールを1日当たり6g飲む人が 一番認知症になりにくいと言われています。

アルコール度数5%のビールなら、150mlです。

おばさん

そんなに少ない量なんですか。

医者正面

アルコールには 神経毒性があるので、飲み過ぎには注意してください。

番外編

サプリメントは効果がない

ビタミンBおよびE、多価不飽和脂肪酸、および複合サプリメントは認知症予防効果がないと考えられる。

WHOは ”強い推奨・中程度の根拠があるもの” として、上記のごとく結論付けています。

結論

認知症になりたくないので

・・・というか、進んでほしくないので、どのような生活をすればよいのかを調べてみました。

結局のところ、”いわゆる健康的な生活”を送るのが大切なんですね。

①運動をする

②食生活を 野菜・果物・魚を中心に考える

③タバコはやめる

④アルコールは少量にする

ということでした。

 

”認知症疾患診療ガイドライン2017”に書かれている内容を参考にしました。

推奨度とは、その課題ごとに その世界の第一人者たちが相談して 客観的に・厳しく推奨度を出したものです。
(その客観性・厳しさゆえに、強い推奨・強い根拠のある認知症の予防法は なかったです。)

参考文献

1)RISK REDUCTION OF COGNITIVE DECLINE AND DEMENTIA:WHO GUIDELINES.2019

2)認知症疾患診療ガイドライン2017

3)F. Sofi , D. Valecchi , D. Bacci,et al. Physical activity and risk of cognitive decline: a meta-analysis of prospective studies.J internal medicine. 2011 ;269(1);107-117.

4)Guochao Zhong, Yi Wang,et al. Smoking Is Associated with an Increased Risk of Dementia: A Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies with Investigation of Potential Effect Modifiers.2015;10(3)

5)Wei Xu,et al. Alcohol consumption and dementia risk: a dose–response meta-analysis of prospective studies.European Journal of Epidemiology 2017,32;31–42