関節リウマチ 診断
おばさん

3か月前から 指の第2関節と第3関節が腫れてきました。

病院では”リウマチ”と言われましたが、本当にそうなんでしょうか?

医者正面

関節リウマチは膠原病の中で1番多い病気です。

リウマチについて見ていきましょう。

 

関節リウマチはどうやって診断するのか

関節リウマチの診断って 難しいんです。

『早期診断・早期治療』が理想ですが・・・

では、我々医師が、どのような項目を見てリウマチと判断しているのかを見てください。

リウマチの診断はどの様にするのですか?

答え:リウマチ分類基準を目安に診断します

ACR/EULAR 関節リウマチ分類基準2010を下に書きます

赤字のところだけ目を通して下さい。

以下の 2 項目を満たす患者を対象とする
1)少なくとも 1 か所の活動性臨床的滑膜炎(すなわち関節腫脹)を有する
2)上記の関節腫脹をより良く説明できるRA以外の疾患が存在しないRA分類基準(A-Dのカテゴリーの合計点が 10 点中 6 点以上の場合にRA確実例と分類する)

A  罹患関節 スコア
1 個の大関節 0
2-10 個の大関節 1
1-3 個の小関節(大関節罹患は関係なし) 2
4-10 個の小関節(大関節罹患は関係なし) 3
11 個以上の関節(少なくとも 1 個の小関節を含む) 5
B 血清学的所見(RF ・抗CCP抗体
RF も 抗CCP抗体 も陰性 0
RF,抗CCP抗体いずれかの低レベル陽性 2
RF,抗CCP抗体いずれかの高レベル陽性 3
C 急性期反応物質(ESR・CRP
ESRおよびCRPともに正常 0
ESR,CRPいずれかの上昇 1
D.臨床症状の持続期間
6 週間未満 0
6 週間以上 1
おばさん

うーーん・・・

難しい

医者正面

本当は、この他にただし書きが山のようにあるのです。

ある程度簡潔になるように 表の部分を中心に書きました。

赤字の要素が多くなれば、関節リウマチの可能性が高くなります。

ACR/EULAR 関節リウマチ分類基準2010は、世界中で使われている分類基準です。

関節リウマチをしっかり診察する先生は、必ずこの基準を目安にします。

ただし、この分類基準も 絶対的に正しいものではありません。

今後 新しい検査方法が出てきたり リウマチの病態解明が進んでくれば、関節リウマチ分類基準は変化していく事になります。

リウマチの診断は簡単ですか?

答え:難しいです

関節リウマチとよく似た症状の病気はいくつもあります

関節リウマチと間違えやすい病気を以下に書きます。

「こんなにたくさん 間違えそうな病気があるのか・・・」といった感じで見てください。

鑑別難易度 鑑別すべき疾患
 1.ウイルス感染に伴う関節炎(パルボウイルス,風疹ウイルスなど)
2.全身性結合組織病(シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,混合性結合組織病,皮膚筋炎・多発性筋炎,強皮症)
3.リウマチ性多発筋痛症
4.乾癬性関節炎
 1.変形性関節症
2.関節周囲の疾患(腱鞘炎,腱付着部炎,肩関節周囲炎,滑液包炎など)
3.結晶誘発性関節炎(痛風,偽痛風など)
4.血清反応陰性脊椎関節炎(反応性関節炎,掌蹠膿疱症性骨関節炎,強直性脊椎炎,炎症性腸疾患関連関節炎)
5.全身性結合組織病(ベーチェット病,血管炎症候群,成人スチル病,結節性紅斑)
6.その他のリウマチ性疾患(回帰リウマチ,サルコイドーシス,RS3PEなど)
7.その他の疾患(更年期障害,線維筋痛症)
 1.感染に伴う関節炎(細菌性関節炎,結核性関節炎など)
2.全身性結合組織病(リウマチ熱,再発性多発軟骨炎など)
3.悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)
4.その他の疾患(アミロイドーシス,感染性心内膜炎,複合性局所疼痛症候群など)

一般社団法人日本リウマチ学会ホームページより引用(http://www.ryumachi-jp.com/)

以上の病気でないことを確認する必要があります。

関節リウマチと間違えそうな病気は、鑑別難易度が高いものとして挙げています。

間違えそうな病気がこんなにも沢山あるのです。

以前リウマチではないと言われましたが、後になってわかることもありますか?

答え:あります

例えば・・・半年前には第2関節が1か所腫れていただけなのに、その後 腫れる関節の数が増えて血液検査でも悪化の傾向がみられることもあります。

そのような時は、新たに関節リウマチと診断されることもあります。

関節リウマチの症状が出てきてから数年以内に診断することが大切です。
(もちろん、早ければ早いほど良いです。)

その理由は、関節が破壊される前に 適切な薬物治療を開始する方が、その後の人生が生活しやすいためです。

まとめ

関節リウマチは、診断するのが難しい病気です。

血液検査でも 関節リウマチに特徴的な検査法も開発されています。(抗CCP抗体)

早期診断・早期治療が関節リウマチのキーワードです。

気になる症状があれば、病院を受診してください。