misia骨折

歌手のMISIAさんが、落馬事故で背骨の胸椎棘突起を骨折

2020年11月15日、TBSのロケ中に 歌手のMISIAさんが落馬し、胸椎棘突起骨折をされました。

背中からドスンと振り落とされる形で落馬されたようです。

第6・7胸椎棘突起骨折で 全治6週間と診断されました。

病名を聞いただけでも痛そうですよね・・・

胸椎棘突起骨折とはどのような病気なのか、一般論を中心として説明します。

胸椎棘突起骨折とは どの様なものなのか

 

胸椎棘突起骨折

赤丸部分の骨折です。

絵でいうと、もう少し左側には太い神経(脊髄)が走っています。

その神経が傷つけば、最悪 下半身が麻痺します。

今回は赤丸の部分が骨折しているので、理論的には神経に問題はないでしょう。

この部分は、背中の肩甲骨の間に位置します。

そんな場所を強く打ち付けてしまったのですね・・・いたそうです・・・

どの様な症状があるのか

強い痛みがあるのは 誰でも想像がつくと思います。

では、どのような時に痛むのでしょうか?

痛みの出る機序に分けて見ていきましょう。

骨自体が動きを強要されて痛みがでる

身体の動きや呼吸によって、骨は動きます。

骨折があれば、骨が動くたびに骨折部に負担がかかります。

①大きく呼吸をする

②首を色んな方向に動かす(上下左右をしっかり見る時など)

③腕を大きく動かす

といった時に 第6・7胸椎は動いてしまいます。

逆に言うと、これらの動きをしなければ 痛みは出にくくなります。

骨折部にくっついている筋肉が 骨折部を引っ張る時の痛み

骨折している骨が直接動かなくても、近くの筋肉が骨折部を引っ張ることもあります。

①ゆっくりと寝返りをする

②ゆっくりと動いて顔を洗う

これらの動きは、ゆっくりと 骨をほとんど動かさない様にしていても 筋肉の緊張によって痛みが出てしまいます。

痛みが出る動きを自分で分析できると、痛みの出ない理想的な動きにつながっていくと思います。

どの様に動くと痛みが出るのか・・・自分の動きを分析して、痛みのない生活をしましょう。

どんな検査で詳しく調べるのでしょうか

レントゲン検査 △~×
CT検査    △
MRI検査   〇

レントゲン検査だけでは なかなか正確に判断はしにくいです。

CT検査では、はっきりとした骨折があればよくわかります。

逆に言えば、骨折しかけている~ほとんどズレていない骨折は分かりにくいです。

MRI検査では、骨折しかけている~ほとんどズレていない骨折でも判ります。

また、胸椎棘突起部以外の場所・・・例えばその奥の神経周囲の状態や、さらに奥の骨の状態もわかります。

これらの状態が分かって初めて、ケガをした部分の重症度が判断できます。

胸椎棘突起骨折の治療はどうするの?

安静

基本的には『安静』が大切です。

安静とは・・・

骨折部にできるだけ負担のかからない生活をすることです。

無理をしない生活(骨折部に負担のかからない生活)をしているだけで、自分の身体が骨折部を癒してくれています。

骨折してから数日は 痛みが段々強くなりますが、その後は楽になってきます。

バストバンド

深呼吸をしたり大きな声を出したりすると、骨折部が痛みます。

これは、胸郭が動くことで骨折部も動いてしまうからです。

胸郭の動きを減らすために、バストバンドという伸縮性のある『さらし』を胸に巻きます。

こうすることで、深呼吸をした時の胸郭の動きが減り、結果的に骨折部の痛みも減るのです。

特殊な超音波による治療(セーフス):保険はききません

超音波を骨折部にあてると、骨折が早く治ります。

セーフスという機械があります。

特定の周波数を発する超音波の精密機械です。

この機械を使用することで、骨折部の血流を適切に増やして、骨折の治療期間を数十パーセント短縮できます。

『サッカーのベッカム選手や競馬の武豊さんも使用された』と、うわさに聞きました。

少しでも骨折を早く治したい場合は(お金はかかりますが)こういった方法もありますよ。

痛み止め(ロキソニンやセレコックスなど)を飲むことが多いです

あくまで対症療法です。

『痛いから痛み止めを飲む』ということです。

骨折が早く治るわけではありません。

痛みがひどくないのなら、飲まなくても良いです。

歌に影響はあるのか

初めのうちは 声を出すことも痛い胸椎棘突起骨折。

この時期は、歌うことは厳禁です。

炎症が収まり、骨折が癒えてくれば歌うことも可能となってきます。

元通り(に近い)状態で歌うためには、

①骨折部が落ち着くこと

②関節の動きが正常に回復すること

が必要です。

これらが達成できれば、『骨折』による影響はないでしょう。

 

もともと身体を極限まで使って歌われているMISIAさん。

歌とは、物理的な身体の能力だけではなく、多くの思いにも左右される芸術だと思います。

是非、身体が早く癒えて、自身のしたい表現が出来るようになってほしいものです。