キーワード:手首を反らし過ぎた・・・
テニス肘と言う言葉を 聞いたことがありますか?
正式には 上腕骨外側上顆炎 と言います。
肘の外側が痛くなるんです。
特に フライパンや包丁を持って料理をするときや テニス等のスポーツをするときに痛みます。
テニス肘ー診断から治療まで
どんな病気?
どの様な病気なのでしょうか?
痛む場所と、痛みの出方が特徴的なんです。
肘の外側にでっぱりがあります。(外側上顆と言います。)
その部分にくっつく筋肉(短橈側手根伸筋・長橈側手根伸筋・総指伸筋)があります。
その場所で 炎症が起こります。
炎症が起こると 痛みます。
この病気の場合、上から物を持つと痛みが出ます。
逆に、下から物を持っても あまり痛くない場合が多いです。
テニスをしている人の30~50%の人が、この病気を経験したと言われています。
テニスについては、30歳以降にテニスを始めた女性で 週3回以上テニスをする人に起こり易いです。
どうしてなってしますの?
自分の体にとって 負担が大きい事をするとなります。
特に、手首(や指)を伸展(手首を後ろに反らす動き)させる運動をしすぎると なりやすいです。
具体的には
①テニスの時に 手首の力を使いすぎる
②料理の時に フライパンを振る
③物を上から持つ作業を 繰り返しする
④パソコンのマウスをよく使う
⑤スマホゲームをする時に 指を付けたり離したりを繰り返し行う
人は 要注意です。
どんな検査をするの?
レントゲン検査・MRI検査をすることがあります。
レントゲン検査では、痛い部分に石灰化(白く見えます)が見られることがあります。
MRI検査では、痛くなっている部分に 炎症の変化がみられることがあります。
治療にはどんなのがあるの?
①手の使い方を工夫する
一番大切なのは 悪くなる使い方をしないということです。
例えば、物を持つ時に 上からつかんで持つのはやめたほうが良いです。
②サポーター
サポーターをするのも一つです。
そこそこ効果がありますよ。
特に、スポーツをする人は、試してみる価値があります。
③湿布・飲み薬
湿布や飲み薬も一つの方法です。
冷湿布・ロキソニンがそれにあたります。
④ステロイドの注射
痛みが強い場合は、ステロイドの注射をすることもあります。
急性期(症状が出て3か月以内)には、選択肢の一つなんです。
病院で相談しましょう。
⑤ストレッチ
慢性期(症状が出てから3か月以上経つ)には ストレッチが効果的です。
ストレッチとは 筋肉を伸ばすことを言います。
⑥体外衝撃波治療
体外衝撃波治療とは、痛いところに 30分程度機械を当てる治療です。
ほとんど痛みもありません。
保険適応ではないため、自費治療です。
(難治性足底腱膜炎だけが保険適応です。)
また、テニス肘に対して体外衝撃波治療をしている医療機関も少ないです。
効果はあるようで、9割以上の症例で効果があったという論文もあります。¹⁾
⑦手術
なかなか治らない場合、手術をすることもあります。
短橈側手根伸筋を切ることが多いです。
まとめ
テニス肘は テニスだけに限らず、家事をすることでも起こります。
様々な治療法がありますが、”絶対的にこれをすれば治る”と言うものはありません。
手の使い方によって引き起こされるので、手の使い方を色々と工夫する必要があります。
先ずはサポーターをつけて、急性期にはステロイドの注射をして、慢性期にはストレッチをして、それでも良くならない場合は 体外衝撃波治療をするのが1つの方法です。
直ぐに治らないことが多いので、ゆっくりと付き合っていく心構えが必要です。
1) 杉田直樹ほか:腱付着部障害に対する体外衝撃波治療の経験、臨床雑誌整形外科69:125-129,2018