関節リウマチだけど 子供が欲しいんです。
関節リウマチの方で子供を産んでおられる方は、沢山おられます。
飲んでいる薬を工夫し、計画妊娠をするための注意点を見ていきましょう。
関節リウマチー薬を調整して妊娠しよう
関節リウマチで妊娠するタイミングはいつが良いの?
答え:妊娠中でも使える薬で治療をしている時
リウマチの治療と言えば”メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)”というのは、今や医学会の常識です。
しかし、妊娠を考えるときには 違ってきます。
妊娠中はメトトレキサートを飲まないほうが良いのです。
妊娠するためには、妊娠中でも使える薬で関節リウマチをコントロールすることが必要です。
そこで、違う薬に変更して リウマチをコントロールしなくてはなりません。
メトトレキサートはどうするの?
答え:妊娠前1ケ月・妊娠中・授乳中は使えません
メトトレキサートはもともと抗癌剤として開発されました。
量を減らして飲むと関節リウマチに効果があることが判り、今は関節リウマチの薬として有名です。
妊娠に関していうと、
・流産率を上げる
・催奇形性を有している
ため、妊娠予定の1か月前から休薬することが必要です。
妊娠を計画したら、メトトレキサートから他の薬に変えていくように 主治医の先生と相談しましょう。
どんな薬が使えるの?
答え:サラゾスルファピリジン・タクロリムス・TNF阻害剤
妊娠期間中でも使える薬として、いくつかの薬が挙げれます。
以下の表を参考にしてください。
一般名 | 商品名 |
サラゾスルファピリジン | アザルフィジンEN サラゾスルファピリジン |
タクロリムス | プログラフ タクロリムス |
エタネルセプト※ | エンブレル エタネルセプト |
セルトリズマブ※ | ヒュミラ |
(※TNF阻害剤については、胎盤以降性の低い エタネルセプトとセルトリズマブを挙げました。)
この表を参考に 薬を組み合わせて使用します。
関節リウマチの症状が上手にコントロールしながら薬を変更するには 少なくとも数か月はかかります。
早めに主治医の先生に相談しましょう。
新生児の注意点は?
答え:新生児生ワクチンの接種を6か月待つことがある
生まれてきた子供にも、注意が必要です。
妊娠後期までTNF阻害剤を使用していた場合は、新生児の生ワクチン接種を半年間待つ必要があります。
妊娠をきっかけにリウマチが治ることもあるの?
答え:あります
妊娠中に薬を飲まないでもリウマチがコントロールできることがあります。
しかし産後は、4~9割で再燃を認めるため、薬の再開が必要になることがあります。
授乳中であれば、上の表に書いてある薬で再開します。
こぼれ話
「妊娠中は リウマチのしんどさが無くなります」
10年以上前には、そのようなことをいう患者さんが複数おられました。
その頃は生物学的製剤が無く、リウマチをコントロールするのが難しい時代でした。
リウマチのしんどさがある中 何とか妊娠した途端に、リウマチのしんどさから解放されるのです。
リウマチのしんどさから解放され、しかも妊娠もして・・・
満面の笑みになって報告に来てくれます。
詳しい機序は不明ですが、妊娠によって免疫系に変化が生じ リウマチの症状が改善すると考えられます。