シンスプリントと疲労骨折
女性笑顔

何年も前から ジョギングをしています。

2週間前から ジョギングをした後に スネの下の方が痛くなってきました。

人に聞いたり 自分で調べたりしていると、「シンスプリント」「疲労骨折」が疑わしいと思うんです。

違いを教えてほしいです。

医者正面

「シンスプリント」も「疲労骨折」も、ジョギングをしてスネの下の方が痛くなる病気の代表ですよね。

どこをどの位の時間走るのですか?

女性笑顔

近くの川沿いの芝生を 40分くらい走ります。

ジョギングシューズではなく、べた靴で走っています。

早く走ることもあります。

医者正面

話を聞く限り、シンスプリントだと思います。

シンスプリントと疲労骨折(脛骨)の違いを表にしたので見てみましょう。

シンスプリントと疲労骨折の違い

シンスプリントと疲労骨折はよく似た部位に痛みが出現するので、正確に診断するためにはMRI検査が必要です。

それぞれの病気について、表にまとめたので比べてください。

シンスプリントー痛みの起こりやすい場所

脛骨遠位1/3(下図 赤色の部分

シンスプリント

内くるぶしから上に10㎝くらいの部分で起こります。

疲労骨折ー骨折しやすい場所

脛骨の上端1/5と下端1/5を除く部分(下図 赤色の部分

疲労骨折

色々な部分で疲労骨折をすることがあります。

シンスプリントー痛みの範囲

10㎝前後に渡ることが多い

疲労骨折ー痛みの範囲

5㎝未満のことが多い

シンスプリントー診断方法

MRI

疲労骨折ー診断方法

MRI・レントゲン検査

シンスプリントー悪い部分

骨膜と軟部組織(骨の外)

・MRI検査で 骨膜や周囲の軟部組織に炎症性の変化があります(下図 赤色の部分

シンスプリント骨膜部分

疲労骨折ー悪い部分

の中

・MRI検査で骨の中に浮腫性の変化や骨折線が見えます(下図 赤斜線の部分

疲労骨折

シンスプリントー原因

はっきりとは分かっていません。以下によく言われている仮説を書きます。

・足首を伸ばす筋肉(ヒラメ筋・後脛骨筋)を使いすぎて 骨膜が引っ張られるため起こる

・ランニングにより、骨に衝撃が加わり、慢性的なストレスで起こる

疲労骨折ー原因

骨の同じ部分に小さな力が繰り返しかかることで骨折します。

シンスプリントー治療

・硬い路面での練習は避ける

・クッション性のある靴を履く

・強いキックを伴う早いペースでの走行を避ける

・ヒラメ筋のストレッチ(下図)

ヒラメ筋ストレッチ

疲労骨折ー治療

・4週間はランニング中止
(骨折の状態によって、手術やギプス・荷重制限も必要)

・4週間の時点で片足ジャンプが10回跳べるなら速足歩行開始

・5週間の時点で痛みなく片足ジャンプが10回跳べるなら少しのジョギング開始

・8週間の時点で痛みなく片足ジャンプが10回跳べるなら60分のジョギング開始

・レース復帰は早くて3か月

上記は 順調な状態での話です。
人によってはさらに時間がかかります。

シンスプリントー危険因子(なり易い人)

・女性

・肥満

・股関節内旋可動域制限(ガニ股の人)

・底屈可動域の増大(足首が下に反りやすい人)

・へん平足

疲労骨折ー危険因子(なり易い人)

・筋力の不足

・アンバランスな筋力

・体が硬い

・未熟な技術

・オーバートレーニング

医者正面

どちらの病気かが判らなければ、今後のことが考えにくいです。

正確に診断するには MRI検査が必要です。

痛みが続く場合は、MRIのある病院で診察を受けてください。

女性笑顔

はい。

分かりました。

医者正面

滅多にないですが、「MRI検査をしたら骨の癌が見つかった」ということもあります。

長引く場合は、受診してくださいね。