果物野菜
女性笑顔

最近 太ってきて・・・

ダイエットにも色々ありますが、何かアドバイスはありますか?

医者正面

WHO(世界保健機構)が「健康的なダイエット」という論文を出しています。

世界中の論文を参考に、複数の第一人者が客観的に話し合ってまとめたものです。

「せっかくダイエットしたのに心臓病になった」というオチはいりません。

ダイエットして、健康に明るくなりました」で行きましょう。

WHOが勧める健康的なダイエットの方法とは

「ダイエットに良い方法はありますか?」

診察室でもよく聞かれます。

私の思いとしては、

①健康でいられること
②活き活きと生活できること

を満たしたうえで ダイエットしてほしいと願っています。

WHOの推奨するダイエットの論文を見たところ、私の思いがかなうようなものでした。

では 紹介します。

1日当たり400g以上の野菜・果物を食べる

果物野菜

1日当たり400g以上の野菜・果物を食べると、非感染性疾患(糖尿病・心臓病・脳卒中・癌)になりにくい¹⁾

ダイエットと聞くと 食事の制限を思い浮かべますよね。

しかしWHOは、野菜と果物を400g以上食べることを推奨しています。

健康上の利点

糖尿病・心臓病・脳卒中・癌などの非感染性疾患になりにくくなります。

注意点

・ジャガイモ・サツマイモ等のでんぷん質の根は400gにカウントしません。(ジャガイモ・サツマイモはダイエットの敵です

食べる工夫

・新鮮な果物や生野菜をスナックとして食べる

女性笑顔

野菜と果物をひとくくりにして考えられるのが、実生活でも役立ちます。

私の場合、野菜だけで400g食べるのは無理そうなので、バナナやキウイなど、手軽に摂れそうな果物を食べるように心掛けます。

医者正面

ダイエットと言えば 食事制限を・・・

と思いがちですが、

しっかりと摂ったほうが良い食べ物を言われると、工夫の幅が広がりますね

濃厚牛乳を低脂肪牛乳に変える

低脂肪牛乳・赤身肉

続いて 脂肪について見ていきます。

具体的な食品としては 肉と牛乳です。

もし牛乳を飲んだり肉を食べたりするのなら、低脂肪乳製品や赤身の肉や脂肪を取り除いた肉を食べるのがポイントです。

WHOの推奨する脂肪についてのアドバイスは 以下の通りです

・総脂肪摂取量を総エネルギー摂取量の30%未満にする
・飽和脂肪酸を総エネルギー摂取量の10%未満に減らす
・トランス脂肪酸を総エネルギー摂取量の1%未満に減らす
・飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の両方を、多価不飽和脂肪酸に置き換える

ひと言でいうと、”脂肪を摂るのは極力減らし、摂るなら多価不飽和脂肪酸が良い”

医者正面

つまり、脂肪を摂るのは極力減らし、摂るなら多価不飽和脂肪酸が良いのです。

脂肪を減らす工夫として、低脂肪乳や赤身の肉を勧めています。

女性笑顔

低脂肪牛乳はさらっとした感じで少し味わいが違いますよね。

でも安いし、変えてみます。

医者正面

肉の脂はまさに”脂肪”ですもんね。

肉を食べるなら、赤身の部分を選んで食べましょう。

私は、オーストラリア牛の赤身が好みなんですけど・・・

トランス脂肪酸を含む食品(ケーキなど)を少なくする

野菜・果物

おやつはどうでしょうか?

(私の職場の机には、チョコレートとカントリーマームと曲がりせんべいが入っています・・・)

残念ながら ✖ です。

WHOはトランス脂肪酸を総エネルギー摂取量の1%未満に減らすことを推奨しています。

健康上の利点

心臓病のリスクが下がります

食べる工夫

・WHOは、おやつとして新鮮な果物や生野菜を勧めています

医者正面

ドーナツ・ケーキ・パイ・クッキー・ビスケット・ウエハース等はトランス脂肪酸を多く含んだ食べ物です。

できるだけ控える方が良いです。

女性笑顔

スーパーで売っているおやつはほぼ全滅ですね・・・(涙)

抜け道はないのですか?

医者正面

WHOは、甘いおやつの代わりに、新鮮な果物や生野菜を勧めています。

個人的には、おやつとしてこんにゃくゼリー・杏仁豆腐・くずもちはどうですか?

比較的カロリーも低く、脂肪も少なめですよ。

女性笑顔

うーーん。

トホホ・・・

ほとんどのトランス脂肪酸は、天然の油を工業的に加工して作られています。

マーガリンやショートニングが代表例です。

トランス脂肪酸を摂りすぎると、心臓病のリスクが上がります。

絶対必要な栄養素ではないので、摂らないに越したことはありません。

詳しく知りたい方は、農林水産省のホームページ:すぐにわかるトランス脂肪酸:を参考にしてください。

バター炒めはやめて、トウモロコシ油などで炒める

調理法の工夫で ダイエットすることも出来ます。

具体的には、バターやラードを減らすのです。

WHOの推奨

・飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の両方を減らして、多価不飽和脂肪酸に置き換える

具体的な対策

バター・ラードを、大豆油・キャノーラ油・トウモロコシ油・ベニバナ油・ヒマワリ油などの多価不飽和脂肪酸が豊富な油に変える

医者正面

バター・ラードを、大豆油・キャノーラ油・トウモロコシ油・ベニバナ油・ヒマワリ油などの多価不飽和脂肪酸が豊富な油に変える方が良いです。

具体的には:野菜や肉などを炒めるときにバターを使う人は、トウモロコシ油を使って炒める方が健康には良いです。

女性笑顔

バター炒めの、こってりした感じが食欲をそそるのに・・・

検討してみます。

医者正面

色んな油が選べるので、香りや味わいを楽しむようにしてみては如何でしょうか。

バター・ラードには飽和脂肪酸が多く、不飽和脂肪酸が少ないです。

変えられるものは変えていきましょう。

塩を5g未満にする・カリウムを摂取する

塩を減らして カリウムを増やすことも大切です。

ここまでくると、ダイエットというより 健康法ですよね。

健康上の利点

・塩の摂取量を1日当たり5g未満にすると 高血圧の予防になり、心臓病や脳卒中のリスクが低下する

食事の工夫

・加工食品を控える(ベーコン・ハム・サラミ・スナック・パン等)

医者正面

ほとんどの人は塩を摂りすぎて カリウムをあまり摂っていないです。

高いナトリウム摂取と不十分なカリウム摂取は高血圧の原因となり、これが心臓病と脳卒中のリスクを高めま。²⁾³⁾

女性笑顔

どんな食品に気を付ければよいのですか?

医者正面

塩は加工食品等に多く含まれています。

・ベーコン・ハム・サラミなどの加工肉
・塩味のスナック
・パン
・調味料(ブイヨン・ストックキューブ・醤油・食卓塩)

上記を参考に、減塩生活をした方が良いですよ。

女性笑顔

カリウムに関してはどうでしょうか?

医者正面

新鮮な果物や野菜を摂取することでカリウム摂取量を増やせます。

女性笑顔

WHOは、新鮮な果物と野菜を推していますね(笑)

日本の厚生労働省は・・・

厚生労働省が2014年3月に発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書によれば、18歳以上の男性は1日当たり8.0グラム未満、18歳以上の女性は1日当たり7.0グラム未満という目標量です。

(日本は海に囲まれているので、歴史的に塩を多めに摂っても病気になりにくい人種なのでしょう・・・)

甘いジュース・おやつを減らす

糖分の観点からも、おやつはダメなんです。

そして、ジュース!

こちらもダメです。

なんだか 更に 追い込まれてきますよね。

健康上の利点

・遊離糖を減らすと心血管疾患の危険因子が減少する⁴⁾

食べる工夫

・WHOは、おやつとして新鮮な果物や生野菜を勧めています

医者正面

やはり砂糖の摂り過ぎはダメなんです。

砂糖の摂取量は総エネルギー摂取量の10%未満に減らす必要がありますし、5%未満に減らすほうが尚良いのです。

女性笑顔

ですよね。

甘いものには目がないんです・・・

どうしましょう?

医者正面

またまた WHOは【”新鮮な野菜や生野菜”をおやつとして食べる】ということを推奨しています。

女性笑顔

やはりWHOは、新鮮な果物と野菜を推していますね(笑)

まとめ

とにかく WHOは 果物と野菜をしっかりと摂る事を勧めています。

・脂肪の質(不飽和脂肪酸を中心に摂る)にこだわる
・塩を減らす
・砂糖を減らす

上記のことを工夫して、少しずつ生活を変えていきましょう。

医者正面

『健康的なダイエット』という書き方ですが、見方を変えると『健康的な食事』でもあります。

この文章を読んでから、我が家の食卓には 野菜と果物が増えました。

何しろ、私が料理担当ですから・・・

 

更に詳しく知りたい方は、下記を参考にしてください。

健康的なダイエット:WHO.2018

参考文献

1) Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases: report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation. WHO Technical Report Series, No. 916. Geneva: World Health Organization; 2003.

2) Guideline: Sodium intake for adults and children. Geneva: World Health Organization; 2012.

3) Guideline: Potassium intake for adults and children. Geneva: World Health Organization; 2012.

4) Te Morenga LA, Howatson A, Jones RM, Mann J. Dietary sugars and cardiometabolic risk: systematic review and meta-analyses of randomized controlled trials of the effects on blood pressure and lipids. AJCN. 2014; 100(1): 65–79.