4歳の子供がまた溶連菌にかかりました。
咽頭が赤くなっているので 小児科で迅速検査キットで検査をして、溶連菌と分かりました。
サワシリンを1日3回×10日間飲んで、2週間後にもう一度受診して おしっこの検査をします。
溶連菌感染の場合、その様に対応する小児科が多いです。
いくつか質問があります。
①いつもサワシリンが出るのですが、それでよいのですか?
②サワシリンの他の呼び名はあるのですか?
③サワシリンは1日3回飲まなければならないのですか?
④2週間後におしっこの検査をするのはなぜですか?
⑤もしもサワシリンを飲まなかったら どうなるのですか?
溶連菌にはサワシリン
①本当にサワシリンで良いのか
答え:サワシリンが一番良いです
いつもいつもサワシリンが処方されるので、本当にサワシリンが良いのか心配になりますよね。
しかし・・・
溶連菌には、サワシリンが確実に効きます。
・他の薬では 耐性菌があるため、せっかく飲んでも効果がないこともあります。
(例えば、マクロライド系抗菌薬:クラリス等は30~40%が耐性・リンコマイシン系抗菌薬:ダラシン等では15~20%が耐性です。)
・ほかの薬は多種の細菌に効果があり 細菌同士のバランスを崩すので良くないです。
(例えば、経口キノロン系抗菌薬:オゼックス等・セフェム系抗菌薬:ケフレックス等)
・再感染や反復する場合は、ケフレックスなどを飲むと良いでしょう。
(その理由は、溶連菌が上皮細胞の中に入った場合、サワシリンは細胞の中に移行しにくいが、ケフレックスは移行しやすいためです。)
・ペニシリンアレルギーのある場合は、ケフレックスなどを飲むと良いでしょう。
以上、様々な理由で 溶連菌にはサワシリンを選びます。
②サワシリンの他の呼び名
答え:サワシリン・パセトリン・アモリン・アモキシシリン・ワイドシリンも同じ薬です
サワシリン®は商品名です。
一般名はアモキシシリンと言います。
違う会社が色々な商品名を付けて発売しています。
③1日3回飲む方法で良いのか
答え:1日3回飲むのが理想的
溶連菌に対して1番効果がある飲み方は、1日3回飲むことです。
ただし 世界的に有名な小児科の本(ネルソン小児感染症治療ガイド 原書台22版)では、1日に1~3回に分けて飲んでも良いとなっています。
1日量(AMPC 50~75mg/kg/日)を
・全部1回で飲む
・1/2量を2回飲む
・1/3量を3回飲む
どれでもよいです。
理論的には 3回に分けて飲むほうが良く効きます。
飲むのを忘れそうな場合は、1回でまとめて飲むのも一つです。
④尿検査の目的は何
答え:腎臓病になっていないかの確認
溶連菌感染の後に腎臓病(急性糸球体腎炎)になることがあります。
急性糸球体腎炎でないことを確認するために 2~4週間後に尿検査をします。
⑤もしもサワシリンを飲まなかったら
答え:リウマチ熱や急性糸球体腎炎になりやすい
抗生剤をのまなかった場合、リウマチ熱や急性糸球体腎炎になる可能性が高くなります。
たとえば、発展途上国では(抗生剤をあまり飲まない国)リウマチ熱の年間発症が10万人当たり50を超えます。
先進国では(抗生剤をしっかり飲む人が多い)リウマチ熱の年間発症が10万人当たり0.5~3程度です。
単に喉の溶連菌を治すだけでなく、その後の心臓や腎臓の病気を予防するためにも、サワシリンを飲むほうが良いです。