痛風の薬に コルヒチンがあります。
痛風が起こりそうな時に飲むと良く効きます。
なぜなのでしょうか。
痛風発作ーコルヒチンは初期にしか効きません
痛風の人でコルヒチンを飲んでいる人は多いと思います。
「痛くて痛くて我慢できない・・・」
となってからコルヒチンを飲んでも意味がありません。
「痛くなりそう・・・」
という時に飲んでください。
コルヒチンは好中球が集まるのを阻止する
コルヒチンは 好中球が体中から集まってくるのを阻止します。
ただし、集まってしまった好中球に対しては 何もすることができません。
つまり、出来るだけ早く 好中球が集まる前にコルヒチンを飲む必要があります。
「痛風が起こりそうだな~」と思ったらすぐに コルヒチンを飲みましょう。
文献的には
せっかくなので、もう少し詳しく見ていきましょう。
文献1では、痛風発作の起こり始めを3段階に分けて説明します。
文献2では、コルヒチンの作用を説明します。
この2つの文献を合わせて考えると、初期の段階でコルヒチンを飲む理由が分かります。
文献1:
痛風は好中球を主体とした急性関節炎です。
関節内に沈着した尿酸塩によって刺激されたマクロファージや樹状細胞から炎症性サイトカインが分泌され、その結果として好中球の関節局所への遊走が起こり、活性化します。¹⁾
解説:
痛風発作の初期は
①関節の中に尿酸塩ができる
②細胞(マクロファージ等)から、異常信号(サイトカイン)が出る
③異常信号の命令で好中球が関節に近寄ってくる
といった3段階に分けれます。
文献2:
コルヒチンは細胞の中に入り込み、チューブリンという蛋白質と結合することでそれにより構成される微小管を安定化します。
この微小管は細胞骨格を形成していて細胞分裂で重要な役割を果たしているほか、好中球では遊走能に深く関与していることが知られています。²⁾
解説:
コルヒチンは 好中球の体の中での移動(遊走)を阻止します。
前述の3段階の①や②のタイミングでコルヒチンが効けば、好中球が関節にたどり着けずに 炎症が起こりません。
まとめ
コルヒチンは 痛風発作の起こりそうな段階で飲むと 大変良く効きます。
しかし、痛風発作が起こり 痛みが強くなってから飲んでも あまり効きません。
早く飲んだ時にしか効かない薬なんです。
参考文献:
1)筒井ひろ子、他:痛風と核酸代謝.2009;33(1):1-6
2)安井耕三:日小児血液会誌.1995;9(1):1-12